翻訳学校のサン・フレア アカデミー

翻訳教室

多くの翻訳者がミスを犯しがちな
英文和訳の注意ポイントや、
辞書などにはその意味が載っていない
翻訳者泣かせの表現、
さらに、直訳に基づいて明瞭で読みやすい
日本語をつくるためのコツなどを収録しています。

翻訳者には、役に立つだけでなく、面白く読んでいただけると思います。私自身、年に何回か読み直すことがありますが、その度に夢中になってしまいます。翻訳というのは、たいていは1人きりの作業です。壁に突き当たったり問題を感じたときにも、なかなか身近に相談できる人がいないものです。そうしたときに、これらの知識がお役に立てるものと思います。

本講座の構想

先に「複数の決まった訳し方」と言ったのは、等価表現の組のことです。本連載では、その枠組みを紹介していきたいと思います。定訳を用意しておくことによって能率が上がると共に、複数の選択肢を常にチェックすることによって誤りや不適切さを防げます。ただし、術語の選択では、各専門分野の背景知識が不可欠ですし、構文の選択では、内容の理解力や、どの表現がベターか評価する力が必要です。

枠組みとしては、構文レベル、助動詞や前置詞など地の文の骨組となる機能語のレベル、それに術語を中心とする個々の用語のレベルの3段階に分けて扱い、その上の文体レベルの問題も取り上げます。ただし、用語レベルでは、個々の用語について辞書を徹底的に引くこと、専門の勉強で術語をどんどん覚えセンスを身につけることが基本となります。この連載では、誤りの元になりやすい類義語と多義語について主なものを紹介するに留めておきます。

この講座では主に英文和訳を扱いますが、和文英訳や他言語の翻訳にも応用できる点が多いはずです。

*本ページは「誤訳パターン克服法」のタイトルでイカロス出版「通訳翻訳ジャーナル」に1998年5月号から連載したものです。
なお、紙幅の関係で雑誌には掲載できなかった部分も含めてあります。無断転載禁。

著者:岡田信弘

第1〜10回 第11〜20回 第20〜30回

第1回 翻訳上達の鍵

十年余のフリーの翻訳生活の後、現在の会社で十余年、主に特許和訳のチェッカーをして大勢の翻訳者の訳文を見てきましたが、誤訳の多くは決まったパターンに属するもので、慣れてくると何をどう誤ったか...

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第2回 受身の話

受身文と名詞構文の多用が、英文の科学技術文献の二大特徴であるといわれています。その他にも、関係文や不定詞、so that 構文など、前から訳すかそれとも後ろから訳すか、一文を訳す際に方針を決めなけ

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第3回 名詞構文の話

前回は受身の話をしましたが、要は、原文が受動形で書いてあっても、必要なら能動形その他の形で訳すということです。今回は英文科学技術文の第2の特徴である名詞構文についてお話しします。名詞構文とは

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第4回 動名詞構文の話

前回は名詞構文の話をしましたが、要は、派生名詞を修飾する句が沢山あるときや、直訳するとぴったり決まらない場合、「~すること」「~すると」などくだいて訳すとうまくいくということです。

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第5回 分詞構文の話

今回は分詞構文のお話です。副詞節や形容詞節の代りに分詞構文がよく使われますが、その機能・意味・修飾関係は訳者が補わなければなりません。漢文で「而」という字がよく出てきたのを覚えていますか

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第6回 不定詞構文の話

前回お話しした分詞構文は、大きく分けて、主文より先に、すなわち副詞節として訳すべきものと、結果の分詞構文のように主文の後に訳すべきものがあります。この判断を誤ると意味が大幅にずれますので

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第7回 関係構文の話

関係文の場合も不定詞構文と同様に前から訳すか後ろから訳すかが大きな問題です。関係詞の前にコンマがある場合は付加用法で前から訳し、コンマがない場合は限定用法で後ろから訳すと学校では

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第8回 asの話

前回は関係詞の話をしました。やはり前から訳すか後ろから訳すかが訳し方の主な問題でした。実は、関係詞がもう一つあります。as です。as には様々な用法があり、関係詞としても訳し方が難しい用法が

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第9回 whileの話

as の話は如何でしたか。その用法はなかなか難しいもので、かなり実力のある人でもよく手こずっています。分析はまだ完璧ではありませんが、きっと役立つことと思います。いよいよ構文編も終わりに

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第10回 it thatの話

これで10回目になりましたが、今回で構文編は終了します。如何でしたでしょうか。紙幅の制約から説明が舌足らずの感を抱いていますが、内容的にはお役に立てるものと考えています。

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第11回 文体の話

機能語編に移る前に、訳文に関する全体的な問題、すなわち文体論について、簡単にお話ししておきたいと思います。詳細は機会があれば後にお話しします。訳文に対する第一印象は、文体と用語で決まります。

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第12回 復習 その1

今回と次回は、実際の翻訳例を使って今までの復習をしたいと思います。構文編の内容は、主として訳文を読みやすくするための工夫です。したがって、単文のレベルではこう訳さなければ間違いだと

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第13回 復習 その2

前回は、主に初心者の方の翻訳を題材にしましたが、今回の題材の過半はベテラン翻訳者の方のものです。いわば、勢いで訳してしまったうっかりミスというべきものもかなりあります。

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第14回 and と or の話

今回は、機能語編の最初として並立接続詞 and と or のお話をします。私は講習会などでよく and の話だけで丸一日かかると話しますが、この簡単なテーマでもそんなに沢山の内容があるのです。

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第15回 助動詞の話

今回は、助動詞についてお話しします。各助動詞の意味、用法には様々なものがありますが、実務翻訳で使われるものは、会話などに比べると限られています。それでも may など皆さん手こずって

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第16回 代名詞の話

今回は、代名詞のお話です。代名詞を訳す上での問題点は、第1に英語では代名詞を多用するが、日本語では直接使うことは少ないことです。第2に、それに伴って、代名詞が何を指すのか

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第17回 不定代名詞の話

今回は代名詞のお話の続きです。御承知のことがほとんどですが、誤訳もよく見られます。訳し方にも工夫が必要です。Some は、「いくつかの」「いくらかの」「若干の」と数量を表す用法と

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第18回 数量詞の話

今回は、数量表現についてお話しします。例によって、誤りやすい表現、辞書だけではわかりにくい表現などを紹介します。数を表すのに一般に用いられる形容詞 a few、some、several、many は

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第19回 分詞の話

今回は、分詞についてお話しします。ここでは連体修飾語としての使い方を中心に扱います。まず、連体修飾に使われる過去分詞についてお話しします。もちろん which is 等の加わった形と訳し方は

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第20回 副詞の話

今回は、副詞についてお話しします。例によって、間違いやすいもの、複数の意味があるもの、訳しにくいものについて取り上げます。first、then、lastly は一組になって物事の順序を表します。

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第21回 副詞の話-続き

副詞の話の続きです。難物がいくつか残っています。多くの意味を持ち様々な訳し方のある常用語の場合、よく出てくる主な意味をしっかり抑えておくと後が楽です。otherwise は、主に3つの用法があります。

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第22回 補助動詞の話

今回は、補助動詞、すなわち助動詞と同様の働きをする動詞群についてお話しします。まず、enable, permit, allow など「~することを可能にする」という意味を表す語があります。

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第23回 動詞の話

今回は、動詞に関係するいくつかの問題についてお話しします。まず命令形について。命令形が頻用されるのは、マニュアル使用説明書やスペック仕様書です。普通は「~します」「~する」と

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第24回 形容詞の話

形容詞についてはまとまった翻訳上の問題は余りありませんが、二三の点についてお話ししておきます。まず、形容詞の中には前置詞を取るものがあります。例えば、御承知のように independent は of を

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第25回 前置詞の話 その1

やっと、最後の話題である前置詞にたどり着きました。ところで、この連載も丸2年経ちましたが、ここで再度私の翻訳についての考え方と方法について簡単にお話ししておきます。

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第26回 前置詞の話 その2

今回は for と with のお話をします。誰しも翻訳を始めるまでは英文和訳は易しいと思っています。そして始めてから暫く経ってその難しさがわかってきた頃、for と with は難しいと言います。

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第27回 前置詞の話 その3

引き続き主な前置詞についてお話しします。その前に、with にもう一つ間違いやすい用法がありました。「の許で」という意味です。なお register...with ~ には"~ と位置合せ(見当合せ)する"

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第28回 前置詞の話 その4

今回は in, on, against などの前置詞の注意すべき用法と訳し方についてお話しします。in は一般に時間や場所について使用され、「~中に(の)」と訳すことができます。

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第29回 前置詞の話 その5

今回は through, over, above, among など残りの基本前置詞についてお話をします。through の基本義は「通って、貫通して、貫いて」です。トンネルを考えると、through を使って

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第30回 前置詞の話 その6

いよいよ最終回になりました。今回は、残りの複合前置詞を取り上げます。常用の基本前置詞や助詞(後置詞)には様々な意味がありますが、その意味を特定するために近代になってどの言語でも

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