翻訳学校のサン・フレア アカデミー

執筆者情報

執筆者情報:岡田信弘

岡田信弘

翻訳者が翻訳ミスを犯すのは
だいたい決まったポイントで、
同じようなパターンによるものなのです。

私は、本格的に翻訳の仕事を始めて30年ほどになります。もともとは化学および歴史を専攻していましたが、外国語が好きで、各国の言語を独習するうちに、理解できる人が少ない“特殊言語”の翻訳を受注するようになったのが、この道に入ったきっかけです。

翻訳会社サン・フレアで、長年「チェッカー」の仕事をしてきました。これは名前の通り、翻訳者の皆さんが仕上げた翻訳文をチェックする役割です。英語の原文と日本語の翻訳文を見比べて、不適切な翻訳があれば修正し、適宜翻訳者に指摘します。

そんな仕事を続けているうちに、気づいたことがあります。翻訳者が翻訳ミスを犯すのはだいたい決まったポイントで、同じようなパターンによるものなのです。

そのうちに社内外の翻訳者の方々と勉強会などを開くようになり、そうしたポイントをレジュメにして配り、手引きとして使うようになりました。そのレジュメが、いつの間にか何十枚にも膨らんできました。 こうしたノウハウを眠らせておくのはもったいない。一気に本にするのも大変なので、『誤訳パターン克服法』というタイトルで、まず雑誌『通訳翻訳ジャーナル』(イカロス出版)に連載させてもらうことになりました。

それを再収録したのが、ここに掲載した『翻訳の泉』です。なお、業界の一部では、翻訳ノウハウの公開を極度に避ける向きもあるようですが、私はそうした立場は取っておりません。

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この書籍は、翻訳者・チェッカーとしての長年の経験で培われたノウハウを豊富な文例で系統的に紹介しています。翻訳パターンを体系的に整理して掲載し、悪訳・誤訳も含めた豊富な訳例もご紹介しています。

当校の講座を修了した「翻訳実務検定 TQE」の合格者からは、この書籍とウェブサイト「翻訳の泉」を繰り返し復習することで合格につながったという声も多く寄せられていますので、講座テキストと合わせて学習にぜひお役立てください。

岡田 信弘(おかだ のぶひろ)

東京大学理学部卒業。同大学院博士課程中退、同人文系大学院修士課程修了。1973年より10数年間のフリーの翻訳者として多国語和訳から始めてコンピュータ・半導体特許翻訳に主に従事する。1986年、(有)国際文化科学技術翻訳研究所((株)サン・フレアの前身)に勤務。主に特許明細書和訳のチェックの傍ら、社内外の翻訳者や一般向けに勉強会やセミナーを開催。主に機電系特許明細書和訳のチェッカー。各分野の明細書和訳OJTで大勢の方を指導。2011年にサン・フレア アカデミーの学院長に就任。

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サン・フレア アカデミーの講師や(株)サン・フレアのチェッカーが誤訳や誤読に関するコラムを連載しています。
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