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類義語多義語

connect と類義語

connect の基本的意味を考えてみると日本語の「つなぐ」とほぼ一致するようです。ただし「つなぐ」は俗語的すぎるので文章語では避けるべきです。電気や通信などで線でつなぐのを「接続」と言い、機械でよく用いられる太さのある連結部で基本的に剛性につなぐのを「連結」と言います。ただし、複合語になると、connecting shaft 連結軸(ポンプ)

connecting rod 連接棒(機械)
connection road 連絡道路(土木)
connecting portion つながり部(ねじ加工)
connection box つなぎ箱(機械)
connection 結線(電気)
connection angle 接合山形鋼(建築)
connecting corridor 渡り廊下(建築)など、

分野によってさまざまな訳語が付けられており、これら学術用語やJIS用語などの公定語は最優先で使用しなければなりません。

類義語をいくつか挙げますと、couple は「くっつける」に相当し、合体するという意味に重点があり「結合する」が定訳です。join は「接合する」が定訳で、面同士でくっつけるという意味です。この他、link 「連係、連結、リンク」、articulate 「連接、連節」、concatenate 「連結」、communicate 「連絡、連通」等も似た意味があります。

include とその類語

前回 include の訳し方について話し、列挙の場合は受身形で訳すべきだと指摘しました。include にはもう一つよく使われる意味があります。それは適用の範囲を示すもので、「含む」または「包含する」と訳します。この意味の動詞には、他に cover、encompass などがあります。なお日本語の「包含する」はこの意味でしか使えないものですが、誤って構成要素を含むという意味の場合に使う人が時々います。

contain は、化学成分などを「含む」「含有する」意味と、器に中身を「容れる」意味があります。comprise も「備える」「具備する」と訳します。

be provided with も「備える」、be equipped with は「備える」「装備する」と訳します。have は硬い文章中では「には〜がある」と訳すよりも「有する」と訳す方がよいことがしばしばです。軽く訳したいときは「もつ」を使います。なお「有している」は冗長です。

訳語の問題として include、comprise、have は、部品を内蔵するなら「含む」、外付けなら「備える」、屈折率など特性や属性なら「有する」などと原語にかかわらず状況に応じて訳し分けるべきです。with 自体も、連体修飾句のとき「備える」「含む」「有する」と訳せます。

この include、comprise、have と区別すべき一連の言葉があります。consist of 「からなる」、be composed of 「から構成される」です。be comprised of も同じ意味で使われています。特許明細書などではこの区別をはっきりさせること、とくに comprise の訳し方に注意することが求められます。

applyの様々な意味

apply およびその名詞形 application にはたくさんの意味や訳語がありますが、基本的な意味は「当てる、加える」です。電圧を加えることを「印加する」と言い、電圧の形を取る信号でも同じ訳語を借用しています。塗料を塗るための applicator は「塗る、塗布する」、フランス語からきた appliqu% (=applied) は「貼り付ける、貼付する」の意味から出た派生語であり、もう少し広く「付着する」と訳すこともあります。また、資金を「充てる、充当する」、規則が「当てはまる」、規則を「適用する」、原理を「応用する」などと使われます。コンピュータのアプリケーション(アプリ)は、application program の略で「適用業務プログラム、応用プログラム」という訳もあります。名詞形 application は特許明細書では「適用/応用例、適用/応用分野」と訳されています。もう一つの重要な意味は「出願、申請」です。ただし動詞は file を使います。

transmitとその類語

通信関係では send が「送信」、receive が「受信」を意味します。transmit は送信と受信を総称して「伝送」と訳しますが、receive と対になって使われるときは send と同じく「送信」と訳すべきです。因みに receiver 「受信機」に対して、sender とは言わず transmitter 「送信機」と言っています。またフランス語では、「伝送」は transmettre、「送信」は $mettre と使い分けています。なお、「送信」「受信」の語は遠隔通信に限って使用し、コンピュータなどのシステム内や回路内での信号のやりとりは、「送る、送出」「受け取る、受領」とすべきだと思います。また、receive は「受ける」と訳すべき場合があります。transmit には光などを「透過する」という意味もあります。

transmit と似た性質の動詞に set があります。一般には「設定」と訳しますが、これは両方向の意味で、reset 「リセット」と対になって使われるときは、「セット」と訳します。つまり、規定の値または状態たとえば1にするのをセットと言い、元の0に戻すのをリセットと言うわけです。

receive とその類語

前回の続きをもう少し。通信の場合は send、transmit と receive は「送信」「受信」でよいのですが、コンピュータ・システム内部や電子回路内での信号のやりとりは「送る」「受け取る」の方がベターです。名詞形は「送出」「受領」です。

transmit とよく似た言葉に transfer がありますが、これは「転送」と訳されやはり装置内部での信号のやりとりを表します。transfer にはその他に「(パターン)転写」「転移」「(熱)伝達」「(権利)移転」などの訳語もあります。

receive は機械分野では収容に近い意味で使われ、たとえばボルトをナットで「受ける」と言います。物品の授受では receive は単に「受け取る」ことですが、accept は内容の確認を伴う場合に使用し、「受け入れる」「受諾」「検収」などと訳します。

cover とその類語

cover の基本的な意味は「覆う」です。よく似た専門語に coat があり、「被覆する」「コーティング(コート)する」と訳されています。cover も被覆と訳す人がよくいますが、これは間違いです。coat では coat するものとされるものがぴったり接していますが、cover では隙間のある場合も含みます。その方が専門語らしい、格好いいからといって、厳密には同じ概念を表さない言葉を素人判断で使うのは怪我の元です。cover がより抽象的な意味に使われる場合、一般に「カバーする」と訳すのが無難です。実際には、経済用語で「買い戻す」「付保する(保険をかける)」など分野ごとにいろんな訳語があります。

compensate とその類語

compensate for は「補償する」と訳し、技術上は外部の影響をうち消すことを言います。for の後にはalignment error、input change など外部影響を表す語が来ます。correct は誤りを正すという意味で、誤差なら「補正する」、誤りは「訂正する」、欠陥は「是正、矯正する」という訳になります。補正と補償を混同する人がよくいますが、注意してください。

compensate for は経済上は損害を埋め合わせる、「補償する」意味が普通ですが、代価を支払う、報酬を支払うと言う意味でも使われます。indemnify は相手に損害が及ばないようにするという意味で、「免責する」と訳されますが、損害を「補償する」と言う意味でも使われます。

remove とその類語

remove は通常「取り除く」「除去する」の意味ですが、「取り出す」「取り外す」の意味のこともあります。eliminate はよくこれと混同されますが、「なくす(る)」の意味で、「解消する」と訳せることもあります。似たものをもう少し挙げると、一般に delete は「削除する」、erase は「消去する」、clear は「クリアする」、cancel は「取り消す」、cancel out と counteract は「打ち消す」「相殺する」と訳します。

particular の話

particular は、普通は「特定の」と言う意味です。この形は副詞には訳せないので、particularly、in particular は、「具体的には」と訳します。特に文頭では、「具体的に話をすると」と言う意味に解釈するとぴったりです。文中では「特に」と訳せることもよくあります。形容詞や副詞に係る particularly は必ず「特に」と訳します。また、depending on の後など「個々の」と訳した方がよいこともあります。specific は「特有の」と訳します。to + 名詞を従えて、または前に名詞を伴って「〜に特有の」となります。化学やバイオでは「〜に特異的な」と言います。複合語では、比重や比熱の"比"をこれで表します。副詞形の specifically は、やはり「具体的に」と訳さざるを得ません。special は「特別な」「特殊な」、especially は「特に」で、particular とは意味が異なります。その他類似のものを挙げますと、distinctive 「独特の」、peculiar 「独特の」「風変わりな」、unique to 「独自の」、inherent、proper to 「固有の」、intrinsic 「固有の」「内在的な」などを基本的訳語として使うといいと思います。

general の様々な意味

前回お話しした particular や special の反対語が general です。「全体的な」「一般的な」「概括的な」がよく使われる用法です。common は通常、「普通の」「共通の」の両方の意味で使われます。副詞形の generally は大抵は「一般に」と「概して」のどちらかで訳せます。後者の generally と substantially は似た使い方がありますが、その違いについてお話しておきます。例えば、テーブルの話で flat の前に付く場合、generally flat は「概して方形の」、つまりインク壺用の穴が掘ってあるなど一部そうでない所があっても全体として平らなもの、substantially flat は「実質上(ほぼ)方形の」、つまりやや凸凹があっても実用上は平坦と見なせるものを意味します。virtually は substantially と似た意味で、厳密にはそうでないにしても「事実上」はそう見なせるというニュアンスです。approximately 「約」は近似的にと言う意味で、数値に使います。なお substantially には、「大幅に」「かなり」など存在感を表す意味もあります。

function の様々な意味

function は、一般に「機能」という意味と「関数」という意味があります。数式を表す場合が関数で、普通は容易に訳し分けられますが、コンピュータ言語では素人なら機能と思うものを関数と呼ぶことがありますので注意が必要です。形容詞形の functional は普通は「機能的(な)」ですが、化学では水酸基(OH-)など反応性の高いもののことを「官能性(の)」といいます。そうした基が分子内に2つある場合に bifunctional 「二官能性」といい、functional group を「官能基」と訳します。その名詞形 functionality も同じく「官能基」の意味となることがしばしばです。

term の様々な意味

term には様々な意味がありますが、ラテン語 terminus が語源で境界標識、境界石が元の意味です。つまり terminal と同源語です。まず、言葉、特に専門用語、述語を表し、普通は「用語」と訳します。この意味から出た複合前置詞に in terms of があり、「〜で表すと」「〜を用いて/によって」などと訳します。次に、数学で数式の「項」を表します。契約書などでは複数形で「条件」を表しますが、特に terms and conditions の形でよく使われます。この形もただ「条件」と訳します。もう一つ、時間について「期間」および「期限」の意味でも使われます。こちらは普通単数形です。ですから、for the term of this Agreement は「本契約の期間中」となります。

solid の様々な意味

solid は普通「固体(の)」「固形(の)」の意味で知られていますが、その他にも様々な意味があります。中味が詰まったというのが基本的な意味で、中空 hollow の逆の「中実」、点線 dotted line や破線 dashed line、in phantom に対する「実線」 solid line (full line)、図形内部を塗りつぶす「べた」、色について「単色の」「無地の」などの意味になります。また solid angle 立体角、solid crossing 立体交差など「立体」を表すこともあります。

measure の様々な意味

measure は動詞では「測定する」「計測する」ですが、名詞では「測定」「物差し」の他、「測定単位、尺度」、ある性質の程度を具体的な数字で表す「測度」の意味でもよく使われ、数学で「約数」の意味もあります。複数になると measures は「処置、措置、方策」の意味になります。具体的な問題を克服するための措置は、countermeasure 「対策」で、こちらは単数です。

means は特許明細書では、「手段」と訳し、ソフトウェアも含めてものを表します。装置などを抽象的、総称的に指す言葉で、measures とは違って措置や操作は意味しません。

rule は普通は「規則」や「支配」の意味ですが、「定規」の意味もあります。集積回路の製作でよく ground rule と言う言葉が出てきますが、"基本原則"ではなく、寸法の最小単位となる「基本寸法」です。

system の様々な意味

system は個々の部分の有機的な集まりを指す言葉で、様々な意味に使われています。まず制度、体制を意味する用法があります。gold standard system 金本位制、health insurance system 健康保険制度、designated hitter system 指名代打制。次に方式の意味があります。Hepburn system ヘボン式、binary number system 2 進法、Cartesian coordinate system デカルト座標系。自然界の体系を指すのにも使われ、「〜系」と訳されます。solar system 太陽系、central nerve system 中枢神経系、tetragonal system 正方晶系。最後に、装置などの集まりを意味する場合は「〜システム」と訳しています。ただし「系統」と訳す場合もあります。lubricating oil system 滑油系統、transmission system 送電系統、electric power system 電力系統。また定訳のある複合語ではそれを使用します。形容詞形は systematic で「系統的」「体系的」と訳しますが、よく似た形の systemic は「全身(的)」です。

process の様々な意味

process は通常「過程」という意味ですが、工学では工業過程の意味で「工程」といいます。「プロセス」と訳すこともできます。ただし、日常語では、process ではなく、その一段階である process step 「工程段階」または単に step 「段階、ステップ」のことを誤って"工程"と呼んでいますので、注意する必要があります。また、化学などでは、「〜する方法」を表すのに method ではなく process を使います。以上の点をきちんと区別しておかないと変な訳文になります。因みに、フランス語では英語の process に相当する単語が、proc%d% 「方法」、processus 「過程」、proc$s 「訴訟」と別々になっています。動詞では、「処理する」のほかに「加工する」の意味もあります。さらに、情報処理の分野では、名詞の process も「処理」と訳しています。

continuous とその類義語

continuous は、continue の派生形で、時間的、場所的に「連続する」の意味です。

continual は、ときに断絶があってもよく、何度も度重なって起こるという意味です:

continual rain 長雨。contiguous は contact と関係のある語で、場所的に「隣接する」が基本義です。

successive は、順序が続きであるという意味で、"相次ぐ"に当たりますが、なかなかよい訳語がなく、仕方なく「連続する」と訳したりしています:

successive approximation 逐次近似。副詞形 successively は「次々に、続けて」と訳せます。

consecutive は期間の連続を表します:

consecutive three months 3ヶ月連続。副詞形 consecutively は「引き続き、連続して」と訳せます。

sequential はきちんとした順序で起こるという意味で、「順次」などと訳されます:

sequential access 順次アクセス。

serialはseries "列"の形容詞形で、やはりきちんとした順序で並んだなどの意味を表します:

serial number 通し番号。
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